angel or devil
みっともねぇけど酒の力を十分に借りて、俺はゴクりと唾を飲み込み意を決して話かけた。
「結華って呼んでもいい?」
結華……その名前を口に出しただけなのに何故か心が暖かくなった。
「う、うん…」
「俺、直輝だから…」
結華には、そう呼んでほしい……
今俺を"直輝"と呼ぶやつは一人もいない。
君は特別なんだ。
君だけは……
俺の小さな願い。
「みんなに何て呼ばれてるの?」
「直、直さん、直くん。
結華は直輝って呼んで!」
「直輝くん…」
「直輝!」
俺は少しムキになった。
どうしても……
それくらい……
「直輝…」
「うん!」
俺の名前を呼んでほしい。
だけど名前を呼ばれただけで、胸がギュっと締め付けられた。
あぁ……
これはきっと恋なんだろう……
恋だの愛だの言う気持ちなんて、俺にわかるはずなんてなかったが、この気持ちがそうなんだって……
直感的に思った。