angel or devil
天罰
「……もしもし」
『もしもし~?もしかしてまだ寝てたの~?今日仕事の前に会おうって言ったじゃ~ん!時間とっくに過ぎてるんだけど~!』
やべぇ……詩織だ……
同伴の予定をすっかり忘れ、いつもの出勤時間合わせてアラームをセットしていた。
「わりい、すぐ行くわ」
あの日から二週間が経ったが、結華はまだ一度も店には来ていない。
もちろん、店以外でも結華に会う事はなかった。
優夜に頼んで麻奈ちゃんに番号を聞いてみたものの
《結華がダメって言うなら教えな~い!》
と、いくら頼んでも教えてはもらえなかった。
どうしたら会えるのか
どこへ行けば会えるのか。
麻奈ちゃんは《知らな~い》の一点張り。
あれからずっと、結華が俺の頭の中から一秒たりとも離れる事はなかった。
会いたい……
会いたい……
その姿をもう一度この瞳に映したい。
会いたくて……胸が苦しくて……
俺は初めて感じたこの気持ちを、どうしたらいいのかなんてわからなかった。