angel or devil
ずっと会いたかった。
会いたくて仕方がなかった。
なのに結華の席に近付いて行けば行くほど、引き返したいくらいに胸が痛んだ。
「来てくれたんだね」
「約束したから」
「………会いたかった」
ずっと想ってた……
言い訳よりも先に、俺は思わず口に出した。
「…………」
「さっきのは―――」
「綺麗な人だね」
………………
「ただの客だから……」
「……………別にいいんじゃない?あたしに言い訳しなくても大丈夫だよ?」
俺が誰かとキスしていようと……
何をしていようと……
やっぱり何も感じないんだな………
なのに勝手に言い訳して―――馬鹿みたいだ。
でも………
「本当に会いたかった」
会いたかったんだ……
ずっと……
「………薄っぺらい言葉」
「え……?」
結華は一瞬、血が通ってないかのような冷たい表情を浮かべた。
さっきまで他の女と熱いキスをしていた俺の言葉なんてきっと……
説得力もなく……
薄っぺらに聞こえるよな。