angel or devil
結華!?
「結華!」
俺の目に飛び込んできたのは間違いなく結華の姿だった。
「直、帰らせるか?」
「大丈夫です。VIPに通して下さい。他の客には上手く言っといてもらえますか?」
「おう。騒がれると迷惑だからな。早くどうにかしろよ。」
ここまで歩いてきたのが不思議なくらいにフラフラの結華を、俺は抱き抱えるように席まで連れていく。
多量の酒を飲んでいる俺ですらわかるほどに、結華からは酒の匂いがしている。
髪と服は乱れ
頬には涙が流れた黒い跡
「どうしたの?」
「ん~?」
結華は俺に、もたれかかりながら甘ったるい声を出した。
「何かあったの?」
「にゃおきぃ~」
「泣いてたの?」
「にゃいてにゃいにょぉ…」
こんな風にでも結華に甘えられ、理性を失いそうな俺は、結華を強く抱きしめた。
《結華には闇がある》
だけど何故か、あの時の麻奈ちゃんの言葉が頭をよぎった。