angel or devil
広い店内は平日にも関わらず賑わっている。
フロアーの真ん中で大きなグランドピアノを引く女、その横にはバイオリンを引く女。
その演奏が響く静かな店内
いかにも高そうな店だ。
「いかがなさいますか?」
ボーイの差し出すメニューを見ると、どれも高級な酒ばかり。
見栄を張ってか、前田さんはその中でも高めの酒を指差した。
後で金出さなきゃダメだな………
「俺お腹空いた~」
「俺も~」
メニューを見ながら次々にフードを頼む二人。
普通キャバクラに来て、飯をガツガツ食うやつなんていないだろ。
一也はチラッと前田さんの方を見て
「ちゃんと出すから大丈夫っすよ~!」
と声をかけた。
前田さんだって恐らくそこそこ良い給料をもらっているが、俺達ホストには敵わない。