angel or devil


俺達の様子に気付いた前田さんは、結華を俺の隣に座らせた。



「結華……」



「……………」



「ここで働いてたんだね」



「はい……」



「……………」



「直輝………」



「うん?」



「………会いたかった」



「……!?」


思いがけない結華の言葉に、俺の胸は締め付けられた。




「申し訳ありませんが美月さんをお借り致します。」


結華、いや、美月を呼びにきたボーイの言葉にうつむきながら席を立つ結華に俺は


「待って」


「直輝……」


そう言って席を立つ結華の表情は、どこか寂しげに見えた。




《会いたかった》


たった一言の言葉。





君の声は俺の心を掻き乱す。






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