angel or devil
磁石
「あっ結華さーん!」
「覚えてたんだね」
「一度見たら忘れないよー!こんな美人!」
一也くんだったかな。
「結華……」
「うん?」
「会いたかった」
その言葉があたしの耳に届いた時にはもう、あたしは直輝の腕の中にいた。
「…………!!」
ダメ……
ダメ……
「先行ってるな」
入り口の燃えたぎる炎の前
直輝……直輝……!!
あたしの隠していた想いを映し出すような炎
「美月さん!!お客様!何してるんですか!!」
「!!」
直輝はあたしの手を掴んで強くひく―――
「結華…!!」
ダメ……
また近付いたって……
でも……
気付いたら走り出していた。
「美月さん!!!!!」
止まらない……
もう止められない……!!