仕事先はメイドさん

倒産

「父さんの会社・・・倒産しちゃったんだ・・・・」
リビングに集められた舞はその言葉を聞き、沈黙する。
「は？親父ギャグ？」
その沈黙を破り舞は呆れた顔をする。
「い、いや！本当なんだよ！父さんの会社倒産しちゃって！！」
父が弁解すればするほど言葉に信憑性がなくなっていく・・・
そんな私に反して・・・・
「舞・・・嘘みたいだけど、本当なの・・・本当に父さんの会社が倒産しちゃったの・・・」
母はハンカチを手に涙ながらに語る。
どうやら本当のようだ。
まぁ、こんなことを冗談で言う人ではないのだが、ちょっと抜けているところがあるからな・・・倒産したと思っているだけ何てことも・・・・・
まぁ、一応私が信じたところで、父が口を開いた。
「で、舞には学校を辞めてもらわなきゃならないんだ」
まぁ、そうだろう・・・
元々裕福な家ではなかったし、学校に行く金を払うなら少しでも生活に当てなくてはならない。
幸い舞は4月に高校に入学して1ヶ月くらいしか経っていないので、学校にそこまで思い入れはなかった。
まぁ、友達とはなかなか会えなくなるけど、一生会えないわけでもないし。
仕方ないと割り切り、舞は言う。
「大丈夫だよ、仕方ないしね」
私が答えると父はもう一度重い口を開く。
「あと、舞にもバイトか何かを始めてほしいんだ」
「お母さんもパートを始めるつもりだから、舞も家の為に頑張って欲しいの」
そういわれると仕方ない・・・
母が言い終わると、私は席を立ち玄関に向かった。
「おい、舞？何処行くんだ？」
私は振り返って父の方に向くと、ジャンバーを羽織りながら言った。
「バイトするんでしょ？じゃあ早速バイトの求人してないか探してくるよ」
そう言って私は玄関を出た。