ひまわりが咲く頃に
と言っても別に声を出すほどのイベントでもない。
「じゃ、入ってもらうぞ。瀬戸ー」
先生の一言で教室の前の扉がガラガラとゆっくり開かれる。
それと同時に生徒は皆口を閉じてシーンとした空気が作られた。
窓の外を見ていたあたしは教室に入って来た転校生が、どんな顔をしているのかも検討がつかなくて…
唯一はっきりするのは、女子の声が黄色い甲高い声になった事だった。
「瀬戸優木だ。皆仲良くなっ」
先生の声は一瞬で消え去るように、女子の声は一挙に膨れ上がった。
まるで大人気歌手のコンサート中のザワめきのような、そんな感じ。
美穂は驚いた顔でもう一度あたしに振り返ると、あたしの手をガシッと掴んだ。
「っ?」
「瀬戸優木、かっこよくない?!」
美穂はそう言うと黒板の前に立っている、背の高い男子を指差した。