street love
「何だよ。美波?」

「私、昨日見たんだよ」

「何を?」

「そんな事も知らないの。自分で考えれば」


ムッとして外向向く。


「何だよ?全然分かんねーよ。はっきり言ってくれよ。何を見たんだよ?」


自分が昨日やらかした事をすっかり忘れている様子。


「昨日、ホントは急用とか言ってちゃっかり別の女の子と会ってたんでしょ!」

「は?美波、何言ってんだよ。本当に急用で行きたくても、あの場所に行けなかったんだから。俺が別の女と一緒にいるわけない」

「言い訳しても、何言っても無駄よ。私、見たんだから…別の女と一緒にいてキスしてた」

「……!!」

「その人と他の場所で待ち合わせしてれば、私にあんな現場見られずに済んだのにね」

「…美波、誤解だよ」


何となく予測していた言葉をついに有野が言ってしまい
益々、美波はイラ立ってきた。


「やっぱそう言うと思った」

「?」

「決めた。今日限りで貴方とは、もう会わない。別れましょう」

「何…おいっ冗談はよせって」

「これが冗談のわけないじゃん」

「俺は別れるなんて嫌だからな。美波、考え直してくれよ!俺は別に何もしてないんだから…キスしたのだって、女が勝手に…」

「さよなら」


後ろを向き、去ろうとした時。
腕を掴まれ引き止められた。


「待てよ。美波!」

「触らないでよ!」


バシッと有野の頬を叩き、走って行った。


「俺は絶対諦めないからなっ」


大声で叫んだが
人混みに掻き消されて
美波に聞こえたかは分からない。
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