street love
響はバイトではなく
実は友人と食事をしていたのだ。ごく普通のファミレスで誰かと話をしていた。


「最近余り会ってなかったけど」


「それはお前が大学に来ないから」

「ははは…そうかも。明日あたり行くと思うよ。だから前のノート見せてくれよ」

「何でだよ…嫌だ。お前のために講義を受けてるわけじゃない」

「まぁまぁそこを頼むよ。政志君」


響は笑顔で何とかしようとするがたい一言で返された。


「知らん」


響の友人とは
あずさの家庭教師をしている
菅原政志だったのだ。

同じ大学で同じ学部の二人は
大学に入ってからの付き合いで、仲良くなったキッカケは
響が講義をサボっていて
レポート提出に関わる大ピンチになっていた時、同じ講義を受けていた政志がノートを貸してくれたという事で実に単純である。


「頼むぅぅぅ…政志さま」


女の子を前にしている時とは全くの別人のように響は必死に頭を下げて手を合わせるが
政志に睨まれてしまった。


「うるさい。あぁ〜もう…俺は忙しいんだよ」

「忙しいって何が?」

「バイトだよ」

「バイトってそんなに大変だったっけ」

「最近、また別の新しいバイト始めたばかりだから…掛け持ち」

「何の?まさか、ホストとか…似合いそうだ」

「んなわけねーだろ。お前と一緒にするな!家庭教師のバイトだよ」

「俺、ホストじゃないって…興味はあるけど。それより、政志が家庭教師!?」


驚く響に、政志はコーヒーを一口飲んでから話す。


「悪いか」

「いや、別に悪かないけどさ。意外だなって思って…まぁ頭良いし政志らしいかもな」

「あ、ところで…まだクダラナイ歌やってるのか?」

「もちろん!政志もたまには聴きに…」

「行かない。俺は興味ない」

「可愛い子、結構来るぜ」

「はぁ…」


思わず溜め息をつく。
政志は響の女好きの性格にかなり呆れているのだ。
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