らぶずっきゅん
お母さんはそんな私の声も聞こえないみたいで、
すごい勢いで人混みを掻き分けていった。
「きょっ恭ちゃんのお母さーんっ?!」
そう言ったらその女の人は振り返った。
「えっ?」
「えっとぉ~恭ちゃんのお母さんだよね?久しぶりっ」
「もしかして絢ちゃんのお母さん?きゃ~~久しぶりっ」
お母さん達は、2人できゃっきゃっと言い合っていた。
私たち家族は引っ越す前、恭ちゃんの家族とは家族ぐるみの付き合いをしてて、
夏休みとかはよくバーベキューとかしてた。
でも私たちが引っ越してからはたまに電話をするぐらいで、
会ったりはしてなかった……
その間に2人の会話はどんどん進んでいて、
「今度っまた家に来てよっ!みんなでご飯食べましょっ」
「じゃあ~行こうかしら!ねっ絢?!」
「うっうん………」
お母さん達の迫力に圧倒されて、気づいたときにはそう言ってた。