君と、ボール。

友達との待ち合わせにふらっ、と立ち入った本屋。
沢山並ぶ雑誌。

時間つぶしに、適当に雑誌をパラパラとめくった。

"男子の本音SP!!"

私は食いついた。
君のこと、少しは知れるかなって思って。

"男子は、恋したらどうなるの?"

・・・興奮しますね。自分の場合、独占したい。


"好きな子が離れてしまったら?"

・・・別れるかな。毎日会ってないとヤだから。

"好きじゃない子に告白されたら?"

・・・告白された拍子に好きになっちゃうかも。俺の場合はね。


インタビューに答えていたのは若手俳優。
でも私たちと同じ年代。

一気に、肩が重くなった感じ。
絶望感と、ショック。
二つ重なって、私にのしかかる。


男の子は、近くにいる女の子のほうがいいのか・・・。

そう思ってたら、友達が来た。

「ゴメン、待った?」

「大丈夫。」

そういって、首を横に振った。


「どっか・・・ファミレスでも行こうか!」

友達に連れてかれて、着いた近所のファミレス。
あたりは少し暗くて、部活帰りの制服姿が多い。

「なんか頼むー?あたしはねぇ・・・」

メニューを手に取る。

たったそれだけ。

だけどいつものその子とは違う気がした。


「とりあえず、ドリンクバー2つでいい?」


うん、と言って店員を呼ぶ。
いつも通り、のはずなんだけど。




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