君と、ボール。
「よし、なんか取ってくるよ?」

その子はグラスを持ち、あたしの顔を覗き込む。

「・・・何か、あったの?」

私は聞いた。
あまりにも、悲しそうで。
手が小刻みに震えていたし、目が赤い。

「やっぱ、バレちゃったかぁ!!」

グラスをテーブルに置き、お茶目な笑顔を見せるその子。
全然笑えてないよ?

「あたしさ、彼氏と別れたんだよね」

・・・え?
あんなにラブラブだったのに。
・・・・・・・・どうして?

「実はさ、彼氏ぃ・・・あ、元彼か。引っ越すんだ。それで離れちゃうから、どうする?って聞いたら、別れようって。」


ドクン。


やっぱり。
離れてしまえば、別れちゃうんだね?
私はこの時、決心がついたのかもしれない。






君に、聞こうって。









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