君と、ボール。
静かな家の中、お茶が注がれる音だけがする。


淹れたてのお茶を少しだけ口にふくんだ。

「あの子ね、あなたのこと大好きよ。」

思いがけない言葉に、私は驚いた。
お母さんは、私を見つめながら言った。

「いつもあなたの話ばかりしてるわよ。愛されてるわね。」

にっこりほほ笑む。
笑った時の目じりが君にそっくり。

「あ・・ありがとうございます・・。」

ぎこちなく答えた私。

「そんな緊張しないで?リラックスしていいのよ。」

クスクスと笑うお母さん。
私を受け入れてくれたみたいでホッとした。
自分の緊張がすこしほぐれた気がして。

でも、私は君に会いに来た。
君に、伝える内容をあれこれ考えてきたの。



お母さんと、何話したらいいのか・・・。




しばらく、無言になってしまって。




しんとなったときに、話を切り出したのは・・・
















お母さんのほうだった。











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