君と、ボール。
お母さんは、私にたくさんの話をしてくれた。
君の好きなもの。
君の嫌いなもの。
君の、失敗談。

たくさん聞いた。
君のことが知れて嬉しかったです。

ただ、ワガママを言わせてくれるのなら。
今日聞いたことすべて、君の口からきかせてほしかったな。


「それじゃあ・・・失礼します。」

そう言って家を出た。


実は、ほんのちょっぴり期待してた。

ひょっとしたら君にあえるかも。

ひょっとしたら、声が聞けるかも、なんて。

ホント、バカバカしいくらい。
私は君に夢中なんです。
気付いてますか?

私の世界はいつだって君が中心なんです。
傾いたり、揺れたりするのも君だから。



・・・君の中の私もそれぐらいの大きさだったらいいなぁ、なんて。
図々しいことは言わないよ。

ただ少し、笑顔を見せてくれればいいよ。


私は君の支障にはならないつもりだから。





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