ミッドナイト・スクール
「ま、ご苦出労さん」
「いえいえ」
信二はクラスメイトの中でも取り分け和哉と仲が良かった。別に同じ中学出身という訳でも、同じ部活という訳でもないのにだ。ただ単にウマが合っただけなのかも知れない。信二も、そして和哉も、お互いを親友と言葉には出さないが、心でそう思っている。
「とにかく、刺されないように気をつけるこったな」
「おいおい、脅かさないでくれよ」
「脅かしじゃない。もうすぐ冬だし暗い夜道には注意した方がいいぞ」
信二と和哉は下足箱からお互いに靴を取り出した。
和哉の下足箱には今日も数枚の手紙が入っている。
「ぉ、昨日は野球部の練習で遅くまでかかったんだよな? 帰りは八時過ぎだったって事なのに、それ以降から今朝にかけての短時間で手紙が来るとは・・・羨ましい奴だな」
信二は肘で軽くつつきながら言った。
「いや、交換日記みたいなもんでさ。付きあっている子からも来てるんだよ……あれ、何だこの封筒、差出人の名前がないや」
手に持った数枚の封筒のうち、一つの水色の封筒を和哉は取り上げていた。
「それ……どこかで見たような……」
……無地の水色の封筒。信二はもしやと思ったが、次の瞬間に予想は的中した。
「うわ、ワープロ文字だ。なになに、十三日の金曜……って、今日じゃないか、七時に生徒会室に来いか」
和哉は乱暴な読み方をしたが、信二がチラリと覗いて見ると、思った通りの文章が白い紙に印刷されていた。
そして奇妙な数字とアルフベットも……。
「何だろう、やっぱり告白なのかな?」
「さあ、どうだろ」
信二は敢えて何も言わなかった。
その時間とその場所は、魅奈の手紙にも書かれていた。もしかしたら、告白の相手は魅奈なのではないだろうか?
そう考えると、今朝、魅奈が信二に手紙を見せた意味がよく分からないが、信こには何となくそんな考えが頭に浮かんだ。もしかしたら、生徒会の誰かが二人に用事があって呼び出したのかも知れない。
どちらにしろ、自分に関係ない以上、下手に詮索するべきではない。そう考え、信二はこの話題には触れなかった。
「この『6・I』ってのは何だろな……何かの暗号か?」
「かも知れないな」
「何にしろ、行ってみれば分かるか」
和哉は手紙を丁寧に鞄の中にしまうと、信二の肩を軽く叩いた。
「いえいえ」
信二はクラスメイトの中でも取り分け和哉と仲が良かった。別に同じ中学出身という訳でも、同じ部活という訳でもないのにだ。ただ単にウマが合っただけなのかも知れない。信二も、そして和哉も、お互いを親友と言葉には出さないが、心でそう思っている。
「とにかく、刺されないように気をつけるこったな」
「おいおい、脅かさないでくれよ」
「脅かしじゃない。もうすぐ冬だし暗い夜道には注意した方がいいぞ」
信二と和哉は下足箱からお互いに靴を取り出した。
和哉の下足箱には今日も数枚の手紙が入っている。
「ぉ、昨日は野球部の練習で遅くまでかかったんだよな? 帰りは八時過ぎだったって事なのに、それ以降から今朝にかけての短時間で手紙が来るとは・・・羨ましい奴だな」
信二は肘で軽くつつきながら言った。
「いや、交換日記みたいなもんでさ。付きあっている子からも来てるんだよ……あれ、何だこの封筒、差出人の名前がないや」
手に持った数枚の封筒のうち、一つの水色の封筒を和哉は取り上げていた。
「それ……どこかで見たような……」
……無地の水色の封筒。信二はもしやと思ったが、次の瞬間に予想は的中した。
「うわ、ワープロ文字だ。なになに、十三日の金曜……って、今日じゃないか、七時に生徒会室に来いか」
和哉は乱暴な読み方をしたが、信二がチラリと覗いて見ると、思った通りの文章が白い紙に印刷されていた。
そして奇妙な数字とアルフベットも……。
「何だろう、やっぱり告白なのかな?」
「さあ、どうだろ」
信二は敢えて何も言わなかった。
その時間とその場所は、魅奈の手紙にも書かれていた。もしかしたら、告白の相手は魅奈なのではないだろうか?
そう考えると、今朝、魅奈が信二に手紙を見せた意味がよく分からないが、信こには何となくそんな考えが頭に浮かんだ。もしかしたら、生徒会の誰かが二人に用事があって呼び出したのかも知れない。
どちらにしろ、自分に関係ない以上、下手に詮索するべきではない。そう考え、信二はこの話題には触れなかった。
「この『6・I』ってのは何だろな……何かの暗号か?」
「かも知れないな」
「何にしろ、行ってみれば分かるか」
和哉は手紙を丁寧に鞄の中にしまうと、信二の肩を軽く叩いた。