ミッドナイト・スクール
「これは魔女狩りだ」
信二の脳裏に、どこかで見た中世ヨーロッパの魔女狩りについての資料が浮かんだ。火炙りりにされている女の顔は恐怖と苦痛に歪み、兵士は鬼の形相をしている。
「なぜ、こんなものが映しっ放しになっているんだ?」
「魔女……死神……」
魅奈が何やら、ブツブツと呟く。
「魅奈、どうかした?」
「いえ……ただ、この絵の魔女とあのローブの死神……どこか似てません?」
突拍子もない言葉に驚いた信二と冴子だが、よく見ると確かに似通った雰囲気を醸し出しているようにも思えた。
「偶然じゃないか?」
突然、スクリーンの炎は本物の炎となった。業火に焼かれる女の絶叫、逃げ惑う女の悲鳴、兵士たちのけたたましい声が響いて来る。炎の中からは呪いの言葉のような意味不明の叫びが、燃え盛る炎の熱までもが三人に伝わって来た。
「あ、熱い!」
炎に包まれ、魅奈は床に倒れ込んだ。
「魅奈、しっかりするんだ!」
「魅奈ちゃん大丈夫か? 気をしっかり持つんだ」
……やがて、魅奈は今のは幻覚だったのだという事に気が付いた。
室内の温度が急激に下がったような気がした。外の階段を何者かが上がって来る気配がする。
……確認するまでもなく死神であるとわかった。足音が聞こえないのだ。ただ気配というよりは、凛とした殺気のような感じがヒシヒシと伝わってくる。
「まずい! 入口に立たれたら逃げ道がなくなる」
気づいた時には遅かった。視聴覚室の入口に巨大な鎌が出現した。勿論、死神の姿もある。相変わらず口ーブ姿の為に顔は見えない。
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