ミッドナイト・スクール
「ありがとう魅奈」
冴子は優しく魅奈の頭を撫でてやった。
「よし、行くぞ。俺の肩につかまれ」
「ダメですよ。信二先輩も肩をケガしてるんですから。私の肩につかまって下さい」
「私ちょっと重いかもよ?」
「平気です」
右足に負担をかけないように、冴子は小さな肩につかまって歩き出した。
今、怪物か死神に襲われたら、逃げる事は難しいかも知れない。三人とも思っている事だった。
……が、幸運な事に会議室までの道程で出くわす事はなかった。
会議室まで普段は三十秒なのに、今は三分もかかってしまった。
……一時になった。
会議室の前まで来た信二たちは、部屋の中の音に耳を済まし、特に怪しげな音がしない事を確かめるとドアを開けた。
カチャリ。
中をさっと見渡す。
一見、誰もいないように見えたが、直ぐに和哉たちが机の陰から出て来た。
「よう、無事だったか。それで何かわかったか?」
「ああ、その事なんだが……あれ? ゴッチーは?」
会議室には和哉とユリの二人の姿しかない。
信二は一瞬、後藤の身に何かあったのかと思ったが、聞き出す前に和哉が説明してくれた。
「ゴッチーなら事務員室へ行ったぜ」
「事務員室? 何をしに行ったんだ?」
事務員室は職員玄関の目の前、先程、信二たちが通って来た一階の連絡通路を抜けて、管理棟側の目の前の部屋だ。
「おかしいですね。事務員室にいたなら、さっき通った時に何で気づかなかったんでしょう」
顎に指を当てて魅奈が考え込んだ。
「教科室と、新聞部の部室の鍵は事務員室にしかないんだ。隔離されてる部屋だからな。それで、そこも見る為には鍵が必要だから……って行って出て行ったんだけど……少し遅いな」
和哉が腕時計を見て言った。
「遅いって、どの位前に出て行ったんだ?」
「……十分前だ」
「それはおかしいぞ! ここから事務員室までは目と鼻の先だ。鍵を取りに行っただけにしちゃ遅すぎる」
冴子は優しく魅奈の頭を撫でてやった。
「よし、行くぞ。俺の肩につかまれ」
「ダメですよ。信二先輩も肩をケガしてるんですから。私の肩につかまって下さい」
「私ちょっと重いかもよ?」
「平気です」
右足に負担をかけないように、冴子は小さな肩につかまって歩き出した。
今、怪物か死神に襲われたら、逃げる事は難しいかも知れない。三人とも思っている事だった。
……が、幸運な事に会議室までの道程で出くわす事はなかった。
会議室まで普段は三十秒なのに、今は三分もかかってしまった。
……一時になった。
会議室の前まで来た信二たちは、部屋の中の音に耳を済まし、特に怪しげな音がしない事を確かめるとドアを開けた。
カチャリ。
中をさっと見渡す。
一見、誰もいないように見えたが、直ぐに和哉たちが机の陰から出て来た。
「よう、無事だったか。それで何かわかったか?」
「ああ、その事なんだが……あれ? ゴッチーは?」
会議室には和哉とユリの二人の姿しかない。
信二は一瞬、後藤の身に何かあったのかと思ったが、聞き出す前に和哉が説明してくれた。
「ゴッチーなら事務員室へ行ったぜ」
「事務員室? 何をしに行ったんだ?」
事務員室は職員玄関の目の前、先程、信二たちが通って来た一階の連絡通路を抜けて、管理棟側の目の前の部屋だ。
「おかしいですね。事務員室にいたなら、さっき通った時に何で気づかなかったんでしょう」
顎に指を当てて魅奈が考え込んだ。
「教科室と、新聞部の部室の鍵は事務員室にしかないんだ。隔離されてる部屋だからな。それで、そこも見る為には鍵が必要だから……って行って出て行ったんだけど……少し遅いな」
和哉が腕時計を見て言った。
「遅いって、どの位前に出て行ったんだ?」
「……十分前だ」
「それはおかしいぞ! ここから事務員室までは目と鼻の先だ。鍵を取りに行っただけにしちゃ遅すぎる」