ミッドナイト・スクール
「肩口を切られている……という事は、死神の方に殺されたのね」
後藤の死体を見て、ユリが死因を述べた。
「死神? おかしいなにここに死神が来たなら、さっき会議室へ来る途中に遭遇してもいい筈だけどな」
恐らく死神は後藤を殺した後、事務員室前の階段を上がって行ったのだろう。連絡通路の方へ来ていれば、信二たちと再び遭遇しただろうし、保健室の方へ行ったのなら、会議室の和哉たちの存在に気づいたかも知れない。今回は幸運だったと言えるだろう。
二人は後藤に軽く手を合わせ、ポケットからカギ束を頂戴すると、カギボックスへ向き直った。
「この中に目的のカギがあるのね」
ユリはボックスを開けようとしたが、ナンバーロックされているらしく開かない。
「そうだった。このボックスは生徒たちが勝手に開けられないように、ロックされてるんだった」
ふと思い出したように信二が言う。
「信二君、パスワードなんて知ってる……訳ないわね」
無意味な質問をしたと気づいたユリは、腕組みをして考え込んだ。
「このパスワードの形式は4ケタの数字だって事はわかるんだけど……」
信二にはわからなかったが、ボックスへ後藤と二人でカギを取りに行った事があったのを思い出した。
「ユリ、俺、以前ゴッチーとここにカギを取りに来た事があったよ!」
「本当に! じゃあ番号は?」
「いや、聞いたけど番号は教えてくれなかった」
ガックリして肩を落とすユリ。
「いや、待てよ。聞いた時にヒントとして何か言ってたな……。確か……クロ、クロム……あれ、クロロフィルじゃないし……」
記憶を探っていると、隣でユリがパスワードを入力し始めた。
ピッ、ピッ、ピッ、ピッ、ピーッ。
ガチャリ。
呆気なくボックスは開いた。
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