ミッドナイト・スクール
もの凄い速さで火は走り、円を作った後、グラウンド側の壁、そして二階の壁にも燃え移った。新聞紙が燃え、ベニヤ板を燃やし、木造の壁を焼いていく。
火の勢いが強い為に、信二たちにも熱が伝わって来る。
円の中央の和哉と怪物たちに動きはない。さすがの怪物たちも火を点けられれば多少のリアクションがあってもいい筈なのだが、まったくのノーリアクションだ。
……やがて、そんな中で死神が動いた。鎌を高く掲げると、光が辺りにフラッシュした。
何が起こったのかと思ったが、体には異常はない……いや、異常はあった。体が今までの熱さをあまり感じなくなっている。耳も火の燃える音が小さく聞こえる。、まるで水の中にいるかのような感覚だ。
「先輩、これって一体……」
魅奈や冴子も、自分に起きた異変に驚いている。
確かに火は燃えている。勢いは衰える気配もなく、更に激しくなってゆく。なのに体が感じる熱は微弱なものになった。
「死神、お前の仕業か!」
フロアの中央にいる和哉の声が聞こえた。不思議な事に、まるで脳に直接響くようにはっきりと聞こえる。
相変わらず動きの遅い死神だったが……ついに。
「……そう、これは魔術を使っている。もとは病気で苦しむ者たちの苦痛を和らげたりするためのものだがな」
冷たく、そして全く感情の読み取れない澄んだ声が死神から発せられた。
突然の言葉に、信二たちは呆気にとられしまった。やはりユリの推測通り、こいつは人間だったのだ。
「お前ら一体何者だ。何が目的だ」
代表するかのように和哉が喋る。
「私は魔女。お前たちが思っているような死神とは違う。死神は死んだ人間をあの世に送り届ける案内人だ」
死神……いや、魔女はゆっくりとだが、はっきりと和哉の質問に答える。
「それと、紹介しよう。この悪魔は私の夫だ。魔術を使う魔女も元々はただの人間、魔界の悪魔との契約によって、術を使えるようになる」
あの世、魔界、魔女、悪魔。日常では出て来る事のない単語ばかりで、頭に染み通るのに時間がかかる。普段なら冗談にさえ聞こえない話ではあるが、今は信じずにはいられない状況にある。
「目的は何だ」
再び、和哉が質問を繰り返す。
火の勢いが強い為に、信二たちにも熱が伝わって来る。
円の中央の和哉と怪物たちに動きはない。さすがの怪物たちも火を点けられれば多少のリアクションがあってもいい筈なのだが、まったくのノーリアクションだ。
……やがて、そんな中で死神が動いた。鎌を高く掲げると、光が辺りにフラッシュした。
何が起こったのかと思ったが、体には異常はない……いや、異常はあった。体が今までの熱さをあまり感じなくなっている。耳も火の燃える音が小さく聞こえる。、まるで水の中にいるかのような感覚だ。
「先輩、これって一体……」
魅奈や冴子も、自分に起きた異変に驚いている。
確かに火は燃えている。勢いは衰える気配もなく、更に激しくなってゆく。なのに体が感じる熱は微弱なものになった。
「死神、お前の仕業か!」
フロアの中央にいる和哉の声が聞こえた。不思議な事に、まるで脳に直接響くようにはっきりと聞こえる。
相変わらず動きの遅い死神だったが……ついに。
「……そう、これは魔術を使っている。もとは病気で苦しむ者たちの苦痛を和らげたりするためのものだがな」
冷たく、そして全く感情の読み取れない澄んだ声が死神から発せられた。
突然の言葉に、信二たちは呆気にとられしまった。やはりユリの推測通り、こいつは人間だったのだ。
「お前ら一体何者だ。何が目的だ」
代表するかのように和哉が喋る。
「私は魔女。お前たちが思っているような死神とは違う。死神は死んだ人間をあの世に送り届ける案内人だ」
死神……いや、魔女はゆっくりとだが、はっきりと和哉の質問に答える。
「それと、紹介しよう。この悪魔は私の夫だ。魔術を使う魔女も元々はただの人間、魔界の悪魔との契約によって、術を使えるようになる」
あの世、魔界、魔女、悪魔。日常では出て来る事のない単語ばかりで、頭に染み通るのに時間がかかる。普段なら冗談にさえ聞こえない話ではあるが、今は信じずにはいられない状況にある。
「目的は何だ」
再び、和哉が質問を繰り返す。