ミッドナイト・スクール
……僅かな沈黙の後、死神は大鎌を構え。
「……お前たちを……殺す」
途端に鋭い殺気が放たれ、背筋を悪寒が走り抜ける。
「……あ、ああ、う、うっ」
魅奈は尻餅をついたうえに、舌が麻痩して喋れなくなった。ただ、信二をつかんでいる手だけがブルブルと震えている。
「いや、お前たちだけではない。お前たちを殺し、魔力をアップさせたら他の人間どもも皆殺しだ」
「なぜだ、俺たち人間に何の罪がある」
「……人間は罪深い。卑劣で残酷な生物だ」
「な! お前だって元は人間だろうが!」
和哉の言葉に、ピクリと魔女は反応した。
「そうだ、私は人間だった。人間としての自分に誇りさえ持っていた事もある。しかし、あの時、人間の本質を知った」
声は変わらずとも、怒りの念は感じ取れた。
『歴史では、中世のヨーロッパで魔女狩りという出来事があったという事ぐらいは知っているだろう。その昔、魔女という言葉は我々一族の呼び名の事だった。病に苦しむ民に薬を統合したり、恋する乙女の為に、媚薬を作ったりする知識を持つ我らの事を、人々は感謝と親しみを込めて『魔女』と呼んだ。
そんな特別な知識を持つ我らをある者は敬い、ある者は恐れたが、特に何事もなく平和に暮らしていた。けっして陽の目を見る一族ではなかったが、苦しむ民を一人でも多く数う事が我ら一族の使命であると、私もそれを誇りにしていた。
……しかし、そんな我らを国は忌み嫌った。
相次いで起こる天災により、国は壊滅状態に陥った。天災の原因が我ら魔女にあるという勝手な噂が流れ、魔女狩りと称した我ら一族の迫害が続いた。
何の罪もない我らの仲間は、追い回されたあげく、火あぶり、水攻め、磔などの拷問を受けて死んでいった。日頃、助けを求めて来た者たちも、誰一人として我々を助けようとはしなかった。
無実の罪で惨殺された我らの怨念は死んでからも消える事はなかった。我ら魔女は魔界と呼ばれる世界へ行き、そこでも恨みの念を膨らませ続けた。いずれ……いずれ腐りきった人間に復讐をする為に』
「……お前たちを……殺す」
途端に鋭い殺気が放たれ、背筋を悪寒が走り抜ける。
「……あ、ああ、う、うっ」
魅奈は尻餅をついたうえに、舌が麻痩して喋れなくなった。ただ、信二をつかんでいる手だけがブルブルと震えている。
「いや、お前たちだけではない。お前たちを殺し、魔力をアップさせたら他の人間どもも皆殺しだ」
「なぜだ、俺たち人間に何の罪がある」
「……人間は罪深い。卑劣で残酷な生物だ」
「な! お前だって元は人間だろうが!」
和哉の言葉に、ピクリと魔女は反応した。
「そうだ、私は人間だった。人間としての自分に誇りさえ持っていた事もある。しかし、あの時、人間の本質を知った」
声は変わらずとも、怒りの念は感じ取れた。
『歴史では、中世のヨーロッパで魔女狩りという出来事があったという事ぐらいは知っているだろう。その昔、魔女という言葉は我々一族の呼び名の事だった。病に苦しむ民に薬を統合したり、恋する乙女の為に、媚薬を作ったりする知識を持つ我らの事を、人々は感謝と親しみを込めて『魔女』と呼んだ。
そんな特別な知識を持つ我らをある者は敬い、ある者は恐れたが、特に何事もなく平和に暮らしていた。けっして陽の目を見る一族ではなかったが、苦しむ民を一人でも多く数う事が我ら一族の使命であると、私もそれを誇りにしていた。
……しかし、そんな我らを国は忌み嫌った。
相次いで起こる天災により、国は壊滅状態に陥った。天災の原因が我ら魔女にあるという勝手な噂が流れ、魔女狩りと称した我ら一族の迫害が続いた。
何の罪もない我らの仲間は、追い回されたあげく、火あぶり、水攻め、磔などの拷問を受けて死んでいった。日頃、助けを求めて来た者たちも、誰一人として我々を助けようとはしなかった。
無実の罪で惨殺された我らの怨念は死んでからも消える事はなかった。我ら魔女は魔界と呼ばれる世界へ行き、そこでも恨みの念を膨らませ続けた。いずれ……いずれ腐りきった人間に復讐をする為に』