ミッドナイト・スクール
何気ないクラスメイトとしてのただの挨拶だった。しかし、この時すでに浅岡は浅岡であって、浅岡ではなかったのだ。
心の底で信二の事を想っていた。信二にとって、にわかに受け入れ難い事実だっ
た。
いや、信二だけでなく、魅奈にとってもショッキングな告白だった。想像した事すらなかった。魅奈は信二と話をたくさんする他、腕を組んだりなどの積極的なアプローチをする。
しかし、浅岡のように口でも、そして態度でも示さずに想い続けるだけの恋というものもあるのだ。
「信じられないか? 浅岡は臆病な女だった。想いを口に出す事すら出来ずに死んでいった。だから、私が代わりに全て話してやったのだ」
魔女は笑った。声をあげて笑った。
……が、奇妙な事に笑いながら涙を流していた。
「ふふふ。死んだ浅岡も嬉し涙を流して感謝しているぞ」
すぐに涙は止まった。後には魔女の冷笑だけが残った。
フォッ!
和哉の脇の空気が動いた。
「くっ!」
魔女は鋭い声をあげると、腿に突き刺さった矢に目を落とした。
「……違うわ。それは、嬉し涙なんかじゃない! 想いを勝手に踏みにじられた幸の……悔し涙よ!」
ユリが魔女に向けて矢を放ったのだ。
「ユリ、正気か! 体は浅岡だぞ!」
篤いて和哉はユリを振り返った。
「和哉君、彼女はもう幸ではないわ。それに、恋愛に魔術を利用しようとした時点で、幸は恋愛に負けていたのよ」
ユリの顔からは堅い決意が窺えた。
「う、ふふ、面白い女だな。殺しがいがありそうだ」
魔女と怪物はゆっくりと進んで来た。
心の底で信二の事を想っていた。信二にとって、にわかに受け入れ難い事実だっ
た。
いや、信二だけでなく、魅奈にとってもショッキングな告白だった。想像した事すらなかった。魅奈は信二と話をたくさんする他、腕を組んだりなどの積極的なアプローチをする。
しかし、浅岡のように口でも、そして態度でも示さずに想い続けるだけの恋というものもあるのだ。
「信じられないか? 浅岡は臆病な女だった。想いを口に出す事すら出来ずに死んでいった。だから、私が代わりに全て話してやったのだ」
魔女は笑った。声をあげて笑った。
……が、奇妙な事に笑いながら涙を流していた。
「ふふふ。死んだ浅岡も嬉し涙を流して感謝しているぞ」
すぐに涙は止まった。後には魔女の冷笑だけが残った。
フォッ!
和哉の脇の空気が動いた。
「くっ!」
魔女は鋭い声をあげると、腿に突き刺さった矢に目を落とした。
「……違うわ。それは、嬉し涙なんかじゃない! 想いを勝手に踏みにじられた幸の……悔し涙よ!」
ユリが魔女に向けて矢を放ったのだ。
「ユリ、正気か! 体は浅岡だぞ!」
篤いて和哉はユリを振り返った。
「和哉君、彼女はもう幸ではないわ。それに、恋愛に魔術を利用しようとした時点で、幸は恋愛に負けていたのよ」
ユリの顔からは堅い決意が窺えた。
「う、ふふ、面白い女だな。殺しがいがありそうだ」
魔女と怪物はゆっくりと進んで来た。