ミッドナイト・スクール
「ここでいいだろう」
信二は渡り廊下を進み、食堂に入り込んだ。足を使って、幾つかのイスを引き出して即席のベッドを作ろうとしていると。n
「……いや先輩、このまま……このままで」
「わ、わかった」
信二は魅奈の言葉に従い、床にそのまま座ってあぐらをかき、その上に魅奈を乗せた。ハンカチで腹部の傷を覆うが、後から後から溢れてくる血液のせいで殆ど役には立たない。
……シーンとした食堂に、魅奈の苦し気な息遣いだけが聞こえた。
この食堂はジュースの自動販売機の明かりが漏れ、夜中でもはっきりとお互いの顔を確認する事が出来た。

『今ならはっきりと気持ちを言える』

魅奈は確信していた。傷の痛みとは別に胸の鼓動が速くなる。
不思議と差恥心もなかった。傷のせいで感覚が麻痩しているせいかも知れないし、あるいは……。

『自分に最後の時が近づいているせいかも知れない』



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