ミッドナイト・スクール
エピローグ

翌朝、清和西高校は昨夜の大事件の事で、一日パニック状態だった。学校は当然のごとく休校になり、警察や消防車も出動した。
木造体育館は全焼し、中から幾つもの焼け焦げた人間の死体が発見された。校内はあちらこちらが損傷しており、血痕やら人間の身体の一部やらが散乱していた。
当然の事のようにマスコミも詰め寄り、教科室の魔法陣等の共通点から、過去の大事件も掘り出されて、校長をはじめとする教師たちは、警察に取材陣にとダブルパンチを受けた。
……事件は大量猟奇殺人犯説、生徒たちによる感情のもつれ説、超怪奇現象説など挙げられたが、当然ながら解決はしなかった。
悲しみに暮れた事件の被害者たちの遺族、そして一部の生徒達は、いるはずのない犯人に深く憎悪した。
世間はこの異常な事件を恐れ、ニュースの放送を食い入るように注目した……が、いつになっても進展しない捜査、そして捕まらない犯人のニュースは次第に忘れ去られていった。
学校側もようやく落ち着きを取り戻し生徒たちの生活も普段通りに戻っていった。



……二ヶ月後。
車イスにのった女性が一つの病室を訪ねた。
……コンコン。
いつものとおり、相変わらず返事は帰って来ない。 
女性は構わずにドアを開けると、車イスを中へ進めた。
ベッドには一人の若い男が寝かされていた。宙をぼんやりと見つめたまま、訪問者の方を見ようともしない……いや、正確には見る事が出来ないのだ。
車イスの女性がベッドへと近づいた。
「……信二」
車イスの女性は……冴子だった。

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