ミッドナイト・スクール

事件の時、爆風で吹き飛ばされた冴子は、たまたま側に置いてあったリヤカーが被さり、一命を取り留めたのだ。ただし、払った代償は大きく、右腕、両足を複雑骨折。鎖骨と大腿骨、そして肋骨七本を折り、右の拳は粉砕骨折していた。
全治六カ月の重症だった。当然、空手は出来なくなり、治っても激しい運動は禁止との診断だった。
いっぽう、信二の方はというと。事件の朝、発見された時には既に正常な状態ではなかった。そして、その腕には女の子をしっかりと抱いていたとの事だった。
医師の診断では、あまりに大きなショックを受けた為に、一時的な記憶の混乱が生じ、感情や表情などの運動神経の欠落……つまり……植物人間になってしまっているとの事だった。
しかし、いつ回復するのかはわからず、これ以上は本人次第という事で、現代の医学ではお手上げらしい。
冴子は開けられていた窓から空を眺めた。
「いい天気だな、お互い早く元気になって皆の墓参りに行こうぜ」
……信二は何も答えなかった。
冴子はポケットからタバコを取り出して火を点けた。冬の寒空に紫煙を吐き出す。傷の痛みと、ニコチンの眩暈が同時に冴子を襲った。
……春はまだまだ先のようだった。

生存者　二名(信二、冴子)
死亡者　八名(浅岡、種田、文彦、悠子、後藤、ユリ、和哉、魅奈)

ＧＡＭＥ　ＯＶＥＲ