ミッドナイト・スクール
「やだ、今の私達と同じじゃない!」
悠子が叫ぶ。
「大丈夫だって。そんな話は、ある程度尾にヒレが付いただけなんだから。それに俺達はお互いが良く知った仲じゃないか、学校の警備や設備なんかも、三十年前なんかとは比べものにならない位に安全に出来ているんだぞ。何かあったとしても無事に帰れるさ」
後藤は安心のする、それでいて納得の行く説明をしてくれた。
「そうですね。今回の件だって、もしかしたら新聞部か何かが、夜の学校について新聞を作る為の協力依頼だったりするのかも知れませんし」
ずっと黙っていた種田の弟の文彦が、明るく口を開いた。

……それから、しばらく雑談が繰り広げられ、信二の話が頭から薄れて来た八時過ぎ。
「どうやら、いたずらのようだな。そろそろ帰るぞ文彦」
「えっ、うん……」
種田は痺れを切らし、帰る決意をしたようだ。
「もう指定された時聞を一時間も過ぎてるし、これ以上待っても無駄かもしれないね」
悠子も種田の意見に賛成らしく、重い腰を椅子から上げた。
「やれやれ、時間の無駄だったな……ん、あれ?」
大きく伸びをした和哉が、出入り口のドアの隙間に挟まれている水色の封筒を見つけた。
「こんな所にいつの間に挟まれていたんだ?」
和哉は封筒を取り上げ、中身を取り出した。
悠子が脇から覗き込む。

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