ミッドナイト・スクール
……どのくらい経っただろうか、揺れは徐々に収まり、やがて静寂が訪れた。
元々かなり散らかっていた生徒会室が、今は足の踏み場もない程に埋まっている。
壊れた窓から入って来る風が異様に冷たい c
……静かだった。外からは人の叫び声はおろか、虫の音さえ聞こえてはこない。
頭を抱え、伏せていた和哉は立ち上がり、室内を見回した。
「おい、みんな大丈夫か? 信二、おい」
和哉は、倒れて来た木材に埋まった信二を助け出しながら、回りに声を掛ける。
「うーん、あいたたた」
悠子がもそもそと机の下から這い出で来た。
うずくまっていた浅岡、ユリ、文彦たちも立ち上がった。
「……ったく、なんなんだ一体」
種田が頭をさすりながら、立ち上がる。
「凄い地震だったな、みんな大丈夫か」
全員の無事を確かめると、後藤はホッと胸を撫で下ろした。
「びっくりしたな。関東大震災の再発か、はたまた第三次世界大戦の襲来か?」
窓から外を見渡し、和哉が叫ぶ。
「な、何だ!」
外を見た和哉は唖然とした。
何も起こっていない。あれ程の地震にもかかわらず、外の景色は普段と何も変わらず、穏やかだった。
あれ程の地震なら、電柱が折れたり、看板が倒れたり、古い部室棟なんかは崩れてしまってもおかしくはないはずだが、驚いたことに外は何の変化もない。
「ちょっと来て下さい!」
いつの間にか、文彦がドアを開け、廊下に出ていた。
信二達が廊下に出てみると、そこは何の変化もない、普通の廊下だった。
「おかしくないですか? あれだけの地震があったのなら、廊下の窓ガラスの一枚や二枚割れていて当然のはずです。それなのに、まるで何もなかったような感じです」
彼の言葉通り、廊下には何の変化もない。
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