ミッドナイト・スクール
「あ、待ってよ」
怒鳴り散らすと、種田は弟の文彦を連れて部屋を出て行った。
「おい、種田……」
「ほっとけ」
声をかけようとした信二を後藤が止めた。
「ゴッチー」
全員が後藤を見る。
「この非常事態で必要なのは冷静な判断力だ。あんな取り乱した奴がいては、こっちの危険にも繋がる」
「でも、種田はどうするんだ?」
和哉が後藤に問う。
「大丈夫だ。何かあっても種田は簡単にはくたばらない。それに長年連れ添った冷静沈着の弟がついているんだ、文彦がいれば最悪の事態は免れるだろう」
さすがに大人の後藤は落ち着いている。こんな非常事態にもかかわらず、冷静に、かつ最善の手段を取ろうと、必死に頭を回転させている。
「とにかく、ユりのいう通り、浅岡の安否を確認する必要がある。十分注意してさっきの場所へ戻るぞ。それから警察に電話だ」
全員は頷くと、後藤を中心に今後の動きの打ち合わせを手短にした。
……信二たちが今いるこの部屋は、H・R棟1Fの一番北側の地理室だ。生徒会室は2Fの南階段を上がった所だ。生徒会室までは教室六つ分の間隔とトイレ、そして北階段、南階段分の距離がある。
なぜ六つ分の教室かというと、1Fは一般の教室ではなく、被服室、家庭科準備室、調理室、電算室、社会科準備室、美術室、美術準備室があるのだ【美術室と美術準備室は、南階段の更に向こうにある。つまり、この地理室が北側の一番端であり、美術室は南側の一番端にあたる訳だ。
「生徒会室へ戻るには、どこを通ればいいのかな?」
悠子が後藤に尋ねる。
「いや、全員で動くのは危険だ」
後藤は悠子に答える。
「でも、ここに居たって危険かも知れないでしょ、だったらみんなで一緒にいた方が……」
「ダメだって。大人数で行動してたら目立つし、いざって時に逃げ遅れるかも知れないだろう?」
ドアの隙聞から廊下の様子を窺っていた和哉が、顔をこちらに向けずにそのまま話す」
怒鳴り散らすと、種田は弟の文彦を連れて部屋を出て行った。
「おい、種田……」
「ほっとけ」
声をかけようとした信二を後藤が止めた。
「ゴッチー」
全員が後藤を見る。
「この非常事態で必要なのは冷静な判断力だ。あんな取り乱した奴がいては、こっちの危険にも繋がる」
「でも、種田はどうするんだ?」
和哉が後藤に問う。
「大丈夫だ。何かあっても種田は簡単にはくたばらない。それに長年連れ添った冷静沈着の弟がついているんだ、文彦がいれば最悪の事態は免れるだろう」
さすがに大人の後藤は落ち着いている。こんな非常事態にもかかわらず、冷静に、かつ最善の手段を取ろうと、必死に頭を回転させている。
「とにかく、ユりのいう通り、浅岡の安否を確認する必要がある。十分注意してさっきの場所へ戻るぞ。それから警察に電話だ」
全員は頷くと、後藤を中心に今後の動きの打ち合わせを手短にした。
……信二たちが今いるこの部屋は、H・R棟1Fの一番北側の地理室だ。生徒会室は2Fの南階段を上がった所だ。生徒会室までは教室六つ分の間隔とトイレ、そして北階段、南階段分の距離がある。
なぜ六つ分の教室かというと、1Fは一般の教室ではなく、被服室、家庭科準備室、調理室、電算室、社会科準備室、美術室、美術準備室があるのだ【美術室と美術準備室は、南階段の更に向こうにある。つまり、この地理室が北側の一番端であり、美術室は南側の一番端にあたる訳だ。
「生徒会室へ戻るには、どこを通ればいいのかな?」
悠子が後藤に尋ねる。
「いや、全員で動くのは危険だ」
後藤は悠子に答える。
「でも、ここに居たって危険かも知れないでしょ、だったらみんなで一緒にいた方が……」
「ダメだって。大人数で行動してたら目立つし、いざって時に逃げ遅れるかも知れないだろう?」
ドアの隙聞から廊下の様子を窺っていた和哉が、顔をこちらに向けずにそのまま話す」