ミッドナイト・スクール

「きゃああああああ！」
「う、うわああ！　く、来るな！」
悲鳴が聞こえた。男と女の二人の声だ。
「誰だ、まさか悠子達じゃあ」
「わあああ！」
ブンッ！
グシユ！
パンツ！
「きゃああああ！　ゆっ、許して」
何かの切れる音、叩きつける音などが壁越しに聞こえて来る。
「いやあああああ……ぎゃあああああああ！」
ガンッ、ガラガラ。
最後の方は、もはや人間の声とは思えない絶叫だった。
机の崩れる音が聞こえると、やがて教室は静かになった。
ガラガラ。
……ミシッ、ヒタッ、ミシッ。
教室のドアを開け、再び怪物は動き出したようだ。
……ミシッ、ヒタッ、ミシッ。
足音が書道室のドアの前で止まった。
ドアのガラスに怪物の顔が覗く。
和哉達の隠れている教卓の陰は、向こうからは見えない。
「和哉君……」
ユリは和哉にしがみつき、黙って肩を震わせた。
和哉は教卓の隙間から、怪物の光る赤い目を腕みつけた。
……ヒタッ、ミシッ、ヒタッ。
やがて怪物は重い足取りで、書道室の前を去って行った。
「ふう、もう大丈夫だぞユリ」
「ええ、よかった。見つかってたら私達どうなってたか……」
教卓から這い出すと、ユリはスカートの挨を払った。
「隣の教室にいたのは一体、誰なんだ？」
１年Ａ組の方を見て、恐らくは殺されたであろう、二人の人物の事を考える和哉。
「見にいかなくちゃな」
「ええ……行きましょう」
隣の教室では何が待ち受けているのか？
二人は事態を確認しに教室へ行くのだが、そこで想像を絶する光景を目の当たりにする。