ミッドナイト・スクール
プールの方へ向かう魅奈から視線を正面の校舎に戻すと、こちらをじっと見つめている浅岡と目が合った。
「おはよう、館林君」
「えっ、ああ、おはよう」
突然挨拶をされて、信二は慌てて返事を返した。
浅岡を朝の花壇で見かけた事は今までにも何度かあったが、挨拶をされたのは今日が初めての事である。
「いつも早いのね」
「あ、うん。この時間だと電車で座れる事があるからさ」
信二は初めての世間話に少し動揺しつつも、テンポよく答えた。
「浅岡さんて園芸部にでも入ってるの? よく花壇で花に水をやってるの見かけるけど」
浅岡は視線を花壇に戻し、花を見ながら答えた。
「別に園芸部には入っていないわ。ただ花は人間と違って素直だから好きなの」
信二は花に特に興味がある訳ではなく、花についての知識も皆無なので、花壇に咲く種類の花の名称などはチューリップではない、という事位しか分からなかった。
「館林君は、花って好き?」
「うーん、見て奇麗だなって思うくらいかな」
信二は素直に答えた。
「そう、別に花についての知識は知りたい人は知ればいい事であって、純粋に奇麗だと思えればそれで十分だと私は思うわ」
「ま、知識はあって損はないからね」
「私は変に知ったかぶりをする人よりは、館林君のように素直な感想を述べられる人の方がいいと思うわ」
浅岡は微笑を残して去って行った。
「……浅岡か」
信二は浅岡の後ろ姿を見送りつつ、二階にある昇降口への階段を上がって行った。
「おはよう、館林君」
「えっ、ああ、おはよう」
突然挨拶をされて、信二は慌てて返事を返した。
浅岡を朝の花壇で見かけた事は今までにも何度かあったが、挨拶をされたのは今日が初めての事である。
「いつも早いのね」
「あ、うん。この時間だと電車で座れる事があるからさ」
信二は初めての世間話に少し動揺しつつも、テンポよく答えた。
「浅岡さんて園芸部にでも入ってるの? よく花壇で花に水をやってるの見かけるけど」
浅岡は視線を花壇に戻し、花を見ながら答えた。
「別に園芸部には入っていないわ。ただ花は人間と違って素直だから好きなの」
信二は花に特に興味がある訳ではなく、花についての知識も皆無なので、花壇に咲く種類の花の名称などはチューリップではない、という事位しか分からなかった。
「館林君は、花って好き?」
「うーん、見て奇麗だなって思うくらいかな」
信二は素直に答えた。
「そう、別に花についての知識は知りたい人は知ればいい事であって、純粋に奇麗だと思えればそれで十分だと私は思うわ」
「ま、知識はあって損はないからね」
「私は変に知ったかぶりをする人よりは、館林君のように素直な感想を述べられる人の方がいいと思うわ」
浅岡は微笑を残して去って行った。
「……浅岡か」
信二は浅岡の後ろ姿を見送りつつ、二階にある昇降口への階段を上がって行った。