ミッドナイト・スクール
そして、それをロープを焦がすギリギリの所に置いた。
「いや! 殺さないで!」
必死の悠子の叫びを気にすることもなく、死神は今度は手ぬぐいのような布を取り出すと、それで悠子の目が見えないように縛った。
「ひいい。やめてぇ! 助けて! お母さあああん! えぐっ、えぐっ!」
視界を塞がれた悠子は、突然の闇にパニックに陥った。目の前にはロウソクの炎が揺れているのが、うっすらと分かるが、死神の気配は既になくなっていた。
悠子は火を消そうと何度も息を吐いた。しかし、普段なら簡単に一息で消えるはずの小さなロウソクの炎は無情にも消えなかった。
……静まり返った体育館のステージの上で、今まさに残酷なショーが始まろうとしていた。視界を塞がれ、いつ落ちて来るか分からないギロチンの恐怖に、悠子はどうする事も出来なかった。気が狂いそうになるような絶望の淵で、悠子はただ、助けが来てくれる事を祈るのみだった。


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