ミッドナイト・スクール
「あ、待って、あれを見て」
科学室の前を移動しようとした際に、先頭を歩く和哉にユリが声を掛けた。
和裁はユリの指さす方向を見る。
「あ、死神だ!」
和哉の言葉に全員が窓の外を見る。
暗くてはっきりとは見えないが、そこには例の大鎌を持った死神が歩いているのが窺える。
体育館へ続く渡り廊下だ。こちらのHR棟へと向かって来ているようだ。
「くそ。なんとかあの女を倒す手立てはないのか」
冴子は、じれったそうに壁に拳をこすりつける。
やがて死神はHR棟の中へと消えた。
「なあ、今あいつは体育館の方から来たんじゃないか?」
「そうみたいね。でもそれが何か?」
ぼんやりと質問した後藤に、ユリは返事を返した。
「分かったぞ、悠子は体育館にいるんだ! もし予告どおりにギロチン処刑が行われるのなら、学校の中で体育館のステージほどにおあつらえ向きな舞台はない!」
後藤には確かな確信があった。
「よし、とにかくじっとしていても何も始まらない。体育館に行ってみよう」
信二たちは三階の非常口のドアを開け、非常階段を降りて渡り廊下へ出た。
「あとは、体育館へ行くだけ……ん?」
信二は渡り廊下の途中に、何か銀色の包み紙が落ちているのを発見した。近寄って拾い上げてみる。
「こ、これは、悠子のチョコレートの『ラミリー』の包みだ」
「どうやら間違いないようだな」
後藤の言葉に和哉も確信を持った。
……悠子は体育館にいる! まだ生きているかどうかは分からないが、助け出さなくてはならない。いや、何としてでも助けたい。
信二たちが体育館へと足を進めている途中。
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