流星ワルツ
待ち合わせ時間 8時20分
ただ今の時刻 8時12分
「……お、らっき!」
メール画面を表示したまま、ガッツポーズを取る少年の周りに野球のユニフォームを着た小学生ほどの子供たちが群がった。
「なんだよー!兄ちゃんっ、帰んの?」
一番小柄な小学生が口を尖らせ、兄ちゃんと呼ばれた少年の服の裾を引っ張っている。
「あのなー…、俺たち高校生は今日から学校なの!!小学生くんたちのお前らとは違うんだよ。だが、しかーし…」
外にピョンピョンとハネているロイヤルショコラの髪を風に揺らしながら、ニヤリと口元を怪しげに緩ませる。
「な…なんだよう」
小学生たちはその表情に怯えるかのように後ずさる。
「俺の幼馴染みが遅れるってことで!もう少し、野球に付き合ってあげれるんだなー、これが!!」
マジでーっ!?と喜ぶ小学生たちの頭をグシャグシャと撫で回してやる。俺の本分はバスケなんだけどな、という呟きはしまいこんでおいた。
「あ、音弥(おとや)にも連絡…ってあいつ起きてんのか?」
――宝城 流衣 15歳
宝城グループの、上に姉が一名いる御曹子。