流星ワルツ



待ち合わせ時間 8時40分
ただ今の時刻  8時32分




「……っん、…は?メール?」



ダークブラウンの襟足が少し長めの髪をかき分け、ベッドサイドのテーブルに置いてあるブブブ、と震えている携帯に気だるく少年は手を伸ばした。




「……待ち合わせ時間…?」




2日ほど前の高校進学祝いとか何とかを幼馴染みんちでやった時の会話の記憶を手繰り寄せる。




「あ」



そういえば、一緒に行こうとか言ってた気がしなくもない、と思い返し、仕方なくまだ目が覚めきっていない体をベッドから起き上がらせる。




「音弥様。ご朝食はどうなされますか」

扉の向こうから聞こえるメイドの言葉に適当に返答し、椅子にかけてあった白いワイシャツを羽織る。





携帯を操作して、メールを送ってきた本人の電話番号を打ち込む。



「あー、流衣(るい)?…今、起きた。…つーか、何?待ち合わせすんの?……は?紫苑が遅れたのかよ。……言い出したの、紫苑だろ」



ネクタイを緩く締めて、冷蔵庫から取り出したミネラルウォーターで口内を潤した。



「で、ナツには連絡いってんの?」



――如月 音弥 15歳
如月病院の理事長の息子。
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