流星ワルツ
ピ、と切ると2つの影が近くに現れた。
「…流衣は、優しすぎる」
「お前、たまには…欲しいって言えよ」
欲しい、欲しいよ。
心の笑顔も、気持ちも、全部。
だけど。
「俺じゃ、ダメなんだ」
俺は、心の“心の底から好きな人”にはなれない。
あいつの、最愛には、なれないんだ。
「…ま、欲しがることに関したらナツも流衣のこと言えねえよな」
「…ん。…ほら、流衣、俺たちしかいないから」
泣きなよ。
溢れる涙と共に想いも流れてしまえばいいのに。心のこと、ただの幼馴染みだと思えればいいのに。
「…んで…っ…こんなに…好きなんだよ…っ」
消えない。消えるわけないじゃないか。
「なんで…っ」
俺が見たいのは、笑顔な筈なのに。笑顔を見ると、泣きそうになる。
俺が出来るのは、笑顔にしてあげるだけだ。それ以上の表情は、心は、絶対にくれない。
対戦相手は今不在なのに。
「早く…っ」
不戦負けするのは。
「帰ってこいよ…っ!」
俺だ。
はやく、はやく、この失恋にピリオドを打たせてくれ。
皮肉なことに、ピリオドを打つのは、心の笑顔だけど。
これ以上、心を好きになりたくないんだ。