流星ワルツ
アリアの血は何色か
<音弥>
「テストーなんてー、なくなってしまえばいいのにー」
「どーうーかーんでーす」
変なリズムで不満を主張してくる紫苑と流衣にため息を吐く心。ふわっと笑うナツ。「…うっせ」と切り捨てる俺。
テスト前の恒例のこの光景は、昔から何一つとして変わらない。
「流衣くん流衣くん、聞きましたー?うっせ、だって!!大切な幼馴染みたちにうっせ、だって!!」
「音弥の薄情もんー!!」
かと言って、俺も勉強してるわけではなく、勉強してるのは心だけだが。
「…ナツ、何読んでんの」
「…ん…、ファーブル昆虫記」
「うえ!しかも英語じゃんか!!ナツ、すげえな!!」
……今、読む必要性は1ミリも感じないけどな。
放課後の図書室。
一番奥から二番目の机。
それが俺たちのいつもの場所。
日差しが程よく差し込み、カウンターの死角になるこの場所は5人共通の気に入っている場所。
「流衣、紫苑。いい加減にしなさいね」
にっこりと笑う、その微笑みは少なくとも温かみは皆無だった。紫苑と流衣が、2人で抱き合いながら震え出す。それを見て、ナツがちょっとだけ反応したのを見て軽く吹き出した。
…ほんっと、変わんねえな。
「そーだ、この前、知り合いになった子がいるのー!!」