流星ワルツ
「……」
呼び出されたもう使われていない工場。錆びた鉄の匂い。其処ら中で伸びてるセンパイ方。
ワイシャツの裾が汚れているのに気が付き眉をひそめる。…また紫苑たちに何か言われんな。
天井の古びたせいで剥がれた屋根の部分から覗く青空が何だか虚しい。
「…何してんだ、俺」
喧嘩は別に嫌いじゃない。
白黒はっきりする点に於いては好きだ。
だけど殴るたびに感じる空虚感は増す一方だ。
「おーとやっ」
「……」
「あからさまに嫌な顔するなよ、傷付くだろ」
「まじかわんねえな」
宮原先輩に神代先輩、下月先輩が工場の入り口に立っていて、懐かしそうに辺りを見回してた。
「…何してんすか」
「懐かしいなー、ここ。まだあったのか」
へえ、とかはあ、とか言いながらキョロキョロしてる宮原先輩の髪にピンクのメッシュが入ってるのを見て、俺も言葉を洩らす。