流星ワルツ
そして、翌日、犯人から次のターゲットが告げられた。
「真理子、真理子、大丈夫だよ」
「しお…っ」
同じクラスの小林真理子。
特別派手ってわけでもねえし、地味ってわけでもねぇ。
犯人にとっては誰でも良いってことかよ、と流衣が苛立ち気味に机を蹴った。
ナツもじっと黙って、その机の上に置いてある今日自宅のポストに入っていたという写真たちを見ていた。
友達と笑い合う姿。
迎えの車に乗り込もうとしている姿。
学校の部活のテニスをしている姿。
それだけじゃない。
風呂上がり、自室の窓の近くで髪を拭いている姿。
父親たちと笑いながら食事をしている姿。
まるで、家の近くで撮っているような写真たちには嫌悪しか浮かばない。
教室の後ろには小林のボディーガードたちが立っていた。
ピリピリしている様子を見ると、心が「……仕方ないわよね」と呟いた。
「…なにがだよ」
「自分が使えている主人の令嬢が危ない目に合ってるんだもの、殺気立つのは…当たり前よね。それにしても、…本当に許せないわね」
ぎゅっと握りしめる心の掌をポン、と叩く。
「…爪で怪我すんぞ」
苛立ってるのは、みんな同じだ。