流星ワルツ
心も稀に見る怒り様だったが紫苑の怒りは凄まじいものだった。
「音弥…っ、探そう。絶対に犯人を探そう」
「…ええ、絶対に許しちゃいけないわ」
放課後の生徒会室は、いつものゆったりとした空気など皆無で。
殺伐としたものが辺り一帯に流れていた。
「手掛かりが何もねえ、とか…有り得ないだろ」
「……手掛かりを見つけようとしても、被害者の子たちが…ある意味その道を阻んじゃってる…」
「ナツ?…どうゆう意味?」
ナツの琥珀色の瞳が鋭さを帯びて、窓の外へと投げ掛けられる。
「…犯人は、被害者の子としか接触を持たない。…何にしろ10人目の小林さんと9人目の子以外…一般人の子だよ」
「ボディーガードなんか、付いてねえな」
ナツの考えを汲み取り、うなずく。
「警察は、尾行された場所だとかの被害者からの情報でしか動けねえ」
「…でも必ず、その情報には恐怖が付随する」
「忘れたい、って思うからその記憶に蓋をする…ってことか?」
犯人を捕まえる為には被害者の体験を聞かなきゃいけねえ。だけど、被害者はその“記憶”を忘れたがる。
「…堂々巡りだわ」
「女の子たちの恐怖を逆手に取るなんて…っ」
下劣極まりない、犯罪行為。