呪 い サ イ ト

「―――っ!?」


 私はそれ以上その光景を見るのが嫌で、拒絶するかのように扉を閉めた。


「一体何なの、あれは……」


 扉に背を預け、へなへなと力無く床に座り込んだ。

 脳裏に蘇る嫌な光景。

 男好きの幸恵が石神の手を握った。
 石神は抵抗しない。
 ノリで莉音も石神の手を握った。
 両手を女子に握られた石神は照れているのか頬を赤く染めた。
 やはり抵抗はしない……。

 ・・・あんなの嘘だ……。石神があんなことするはずは……っ!

 ない、と否定をしたくてもそうとは言い切れない、複雑な心境の私は確認するべく、もう一度扉を開けた。

 どうかさっきの光景は嘘でありますように。幻でありますように。

 そう願いながら目をぎゅっと強く閉じて。

 パッと開いた目に映ったのは……願いが叶わず、先程と同じ光景だった。両手を女子に握られて、照れる石神の姿だ。


「そんな……!」


 ―――ぽん。

 誰かが落胆する私の肩に手を乗せた。驚きで心臓がびくっと跳ね上がる。
< 115 / 210 >

この作品をシェア

pagetop