呪 い サ イ ト
「もーダイエットなんか、どーでもいいし!!」


 高井のためにウチはダイエットをしていた。人気者でカッコイイ高井と並んで絵になるような女子になりたかった。
 けど、高井に彼女ができたのなら、もうダイエットなんて関係ない。

 ―――どか食いしてやれ!

 弁当箱を抱え込み、箸で必死にご飯を口にかき込んだ。なんだかしょっぱい味がする。腐っているのかと最初は思ったけど、頬が濡れていることに気付き、涙の味だとわかった……。


「夏紀……」


 何も知らない梓ではなく、事情を知っている真里が悲しそうな目でウチを見た。


「ダメ! まだ可能性はあるんだから」


 真里はウチの腕にしがみつき、箸を取り上げた。

 ―――可能性。それは、別れさせられる可能性があるってこと?
 よく考えれば、あの手この手を使って別れさせれるぐらい―――容易いことかもしれない。


「そうね……。自暴自棄になっては駄目ね。可能性はあるんだもの」


 失恋の味を噛みしめながら、袖で涙を拭って決心した。

 絶対に谷村と高井を別れさせてやる!!

 高井の彼女はウチしかいない。ふさわしいのは、ウチしかいないんだ! 他の女になんて絶対に渡さない。

 そう決意した衝撃の昼休み。
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