呪 い サ イ ト
「じゃあね……バイバイ……っ!」
口元を手で覆い隠し、涙を堪えながら、
私は病室から駆け出した。
「えっ!? ちょっと優子!?」
驚愕の表情で幸恵は私を見た。
「まだ、聞いてほしい恋バナがあるの!
だから待って―――!」
―――バタンッ!
幸恵の話を拒絶するかのように、
荒く扉が閉まる音だけが、空しく響いた。
「全く……優子、どうしちゃったのよ」
幸恵は不満げに溜め息をついた。
とても聞かせたい恋話だったのだろう。
「塾行かないといけないだけ。ウチもだよ。
急がないとやばいから。じゃあバイバイ!」
優里は適当に話を作り上げ、
ひらひらと手を振り、
その場を後にした。