呪 い サ イ ト

罪の意識

 発砲事件で足を負傷した三人が、先日退院した。
 撃たれた部位が違うこともあり、退院日は三人同じではない。寧々、莉音、幸恵の順だ。

 三人は移動時にまだ車椅子を利用しており、週に何回かはリハビリのため通院している。勿論体育も部活も参加することはできない。見学だ。



「ねぇ~石神ぃ~」


 莉音が石神を上目遣いでみつめながら、甘い声で呼ぶのが廊下にいても教室から聞こえた。


 石上は亜里沙の転落事故が起こってから、すっかり元気がなくなっていた。いつもどんよりとした重い雰囲気を漂わせている。
 誰かに話しかけられてもとても反応が薄く、無視しているのと同じような状態だった。無論、先程話しかけた莉音も同じ目にいつも遭っている。
 ・・・私と優里を除いては。

 石神が亜里沙を突き落としたことになる行為を、私と優里が見ていたからだろう。石神は私達を恐れている。行為が他人に比呂案ることを恐れているのだ。
 そのため、私達に話しかけられると、無視状態にするわけにはいかないのだろう。ご機嫌をとらなければいけない、と考えているのか。
 そして好かれようと私達に媚も売っているような気がする。
< 203 / 210 >

この作品をシェア

pagetop