呪 い サ イ ト
 できるだけ、亜里沙の身体だけでなく心も傷付くように、石神が突き落とすように設定したが、よく考えればわかることだった。思わず自分が突き落としたら、偶然下にあった学校を囲む柵に串刺し状態になり、血に塗れあんな大怪我になった、というのが石神の認識だろう。私が呪いサイトに書き込んでそうさせた、なんていうことはもちろん知らないはずだし知られても困る。
 だから、自分のせいで亜里沙は入院までするハメになった、と石神は思っているはずだ。犯罪者だと自分を責め続ける。
 少なくとも、私がもし石神の立場ならそう思うに違いない。
 このことを配慮して、もう少し違う設定にしていれば、石上は今明るい表情や笑顔を見せているのではないのだろうか……?
 石神の日常を、幸せを、笑顔を、奪ったのは―――私だ。

 罪の意識が私の胸をギュッと締め付け、息苦しくなった。


「ま、罪の意識なんてウチらにはないものだけどね」


 はは、と笑う優里にあまりそうとは思えないが、気にしないようにしようと思いつつ、


「あはは、そうかもね……」


 と返し、二人して小気味よく笑いあった。―――はずだったのだが……。
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