呪 い サ イ ト
「夏紀、どうしたの……?」


 ウチの少し苦手な人物、八田 梓(ハッタ アズサ)だった。
 いつも何故かびくびくしていて、人の顔色ばかり窺ってくる。
 これといった友達がいないからか、それ程仲がいいわけでもないのに、よくくっついてきて鬱陶しい。


「なんでもないわ。気にしないで」


 突き放すように、冷たく返す。

 梓には、ウチが高井のことが好きだと、教えてはいない。それ程の仲でもないし、何だか信用できないし……。まず、友達だと微塵たりとも思ったことはない。


「で、でも、すごい顔してたよ……!」


 またびくびくしている梓を見ると、なんだか癪に障ってイライラする。

 睨んでいるウチの顔は、そんなにも酷かったんだろうか。高木に見られていたと思うと、少し不安になった。

 と、その時……よく響くチャイムが鳴った。それを合図にクラスメイトが話をやめ、席に着いた。
 梓も名残惜しそうな顔をして席に着いた。
 椅子を引きずる音が教室に響く。

 無意識の癖で、ウチは高井の顔を見た。クラスメイトと話していた時の、楽しそうな笑顔は消えていた……。

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