呪 い サ イ ト
 ウチと真里はトイレに入った。どこかの公園の不潔なトイレとは比べ物にならないくらい、ここの学校のトイレは綺麗だ。
 そのためここは女子の絶好の溜まり場。でも今は移動教室のクラスが多いのか、誰もいないようだ。
 鏡がたくさん取り付けられていて、身だしなみも確認できる。校則違反だが、こっそりと化粧をしている生徒もちらほらといる。

 臭いなんて全く気にならず、むしろ清潔感溢れる、石鹸のいい香りがいつもする。
それは粒が入った大量の芳香剤と消臭剤のおかげだ。
 あらゆる場所に置かれていて、よく気付かずに落としてしまうのが難点だが。

 隣にいる真里を見ると、リップクリームを塗っていた。そして上唇と下唇を合わせながら、リップクリームをブラウスの胸ポケットにしまう。
 容器はストーンでデコレーションしていて、世界でただ一つのデザイン。真里は手先が器用でセンスもいい……正直憧れている。

 ウチはさっきの授業の時に、赤の水性のボールペンが付いてしまった指を水で洗い流した。下に流れていく水が赤く染まる……。
 それが真っ赤な鮮血に見え、昨日の光景が脳裏に蘇る。ウチはぶんぶんと頭を振り、その光景を頭から振り払った。

 制服のスカートのポケットから今流行りのクマのキャラクターのハンカチを取り出し、手を拭いた。
 その時、丁度肘が芳香剤に当たり、からん、と音をたてて地面に落ちた。
 あーあ、またやっちゃった。

 いつものことだけど、なんだか不吉な音のような気がした。
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