呪 い サ イ ト
 休み時間。
 いつものように、なんとなくウチは席を立つ。


「近藤!」


 ウチは呼び止められ、振り返る。声だけでもわかった―――高井だ。
 高井の声を聞いているだけで、なんだか癒される。そして安心する。


「明日、数学の課題提出だぜ」


 高井はよくこうして、話しかけてくれる。とても頼りになる人物だ。


「あ! そうだったわね……」


 さっきの授業も数学だったのに……と心の中で小さく溜め息をついた。
 ウチは数学が一番嫌い。ちなみに二番目は英語だったりする。

 でも数学の存在のおかげで高木が話しかけてくれた。
 生まれて初めて数学が存在していてよかったと思った。そして課題を出した数学の先生にも感謝だ。


「すっかり忘れてたんだろ?」


「そ、正解!」


 ウチと高井は笑い合う。
 こんな何気ない会話でも、高井とだったらとても楽しくて、なにより幸せだ。

 でも、そんな楽しい時間は続かない。あいつに邪魔される―――……。


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