呪 い サ イ ト

調理実習


 翌日。

 ウチは小学生の頃に家庭科の授業で作った、その時流行っていたブランドのエプロンを持って、調理室へ向かっていた。
 今日は調理実習なのだ。突然決定したことのようで、昨日の夜に学校から電話で連絡があった。不思議なこともあるものだ。

 昨日から真里と梓はずっと一緒にいて、ウチはずっと一人ぼっちだった。
 一応は誰とでも仲良くできるタイプだけど、とっくの前からグループは決まっている。少し話すくらいはできても、入り込むことは中々できない。

 まぁ……いいや。真里に絶交って言ったのはウチだもん。

 これぐらい、覚悟できていたことだ……と勝手に納得して、できるだけ傷つかないようにしていることに気付く。自己防衛をして、哀れだと思った。

 絶交はしたけど二人の様子が気になって、会話を盗み聞きしようと試みる。

 そういえば、昨日も盗み聞きをしたっけ。ウチってば、どれだけ悪趣味なんだ、と心の中で苦笑する。

 ――結局、ウチについての話は一切しなかった。昨日のテレビの話、これからの調理実習の話等のただの世間話だけだった。せっかく神経を集中させたのに、聴いても意味は全くない。気が疲れて終わっただけで、ますます虚しくなるばかりだった……。

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