呪 い サ イ ト
「心愛(ココア)ちゃん、ウチ料理苦手だからよろしくね! 頼むよ!!」
「うん、いいよ!」
普通こんな風に押し付けられたら嫌な気もするけど、同じ班の料理好き心愛ちゃんは快く引き受けてくれた。
優しくて可愛くて料理もできるから、男子から絶大な人気を得ている。
高井のことが好きだったらどうしよう! ウチ絶対に負けちゃうわ! とまた高井のことが考えに入り込んできて、勝手に心愛ちゃんとライバル視してしまった。下手すると次は心愛ちゃんを呪いサイトに書き込むかもしれない。
……ふと、真里と梓が目にはいった。二人は楽しそうに話している。また盗み聞きをするつもりだったんだ、と気づいた。
「トッピングはウチがするから!」
そう言い残し、ウチはさり気なく真里と梓の元へと行った。近くには女子。ほとんど喋ったことはないけど、カモフラージュのため話しかけた。
「く、紅愛(クレア)ちゃん、料理できるんだね……!」
あくまでも用があるのは真里と梓ではない、見せかけるためなのだけど相手が悪かった……。この暗くてほとんど喋らない、変な名前の紅愛ちゃんではさすがに無理がある。
けどこれでも友人はいるようだ。たった一人の友人は先程の料理上手な心愛ちゃん。気が優しい心愛ちゃんは、一人ぼっちの紅愛ちゃんを放っておけなかったのかもしれない。
話しかけられて驚いている紅愛ちゃん。ウチと全く親しくないから仕方がない。こくん、と頷いただけで会話は終了し、二人の間に沈黙が流れる。
これは会話になるかな……と苦笑して困りつつも、真里と梓の会話に耳を傾けた。